「フェズ」世界一の迷宮へ~

1994年10月4日 (第4日目)
アヒルの鳴き声で目覚めた朝。昨夕は疲れのせいで気にしなかったんだけど…
デカい…
ここのアヒル…
ふと…私は自分の大きな勘違いに気付いたの。
「やだぁ~、これアヒルじゃなくて、ガチョウじゃないのー!!!」超大ボケな私…
このキャンプ場ではもう1泊できるため、この日の朝はいつもの慌しさは無く、数日振りにゆっくり朝食を取る事ができそう?
「10分後に出発ね」
「へ?」
結局、のんびりする時間はなく、慌てて水筒とカメラを持って市内観光に連れて行かれたの。
ざわめく城壁の門でガイドさんと対面!ガイドさんが今から観光する場所についての説明がされてね…私ったらその時はじめて自分のいる場所が世界遺産に指定されているほど有名な「フェズの旧市街」だという事を知ったの!!!
モロッコで3番目の規模を持つスーク(市場)があるフェズの旧市街は、9世紀にモロッコ初のイスラム王朝の首都として建設され、北アフリカの文化と宗教の中心地として栄えた所。
別名「世界一の迷宮都市」と呼ばれているよ。
もちろん当時、ここがそんなにも有名な場所だとは全く知らなかったんだから…あきれたもんだね。
一歩足を踏み込めば…ガイド無しでは同じ場所に戻って来れないらしいから迷子にならないようにしっかりガイドさんについていかなきゃ!でなきゃ絶対迷うんだって!!!
城壁に囲まれた旧市街の中は別世界。中世のアラビアにタイムトリップした印象を受けたよ。車が全く進入できない狭い石畳の道は曲がりくねり、上り下りを繰り返し、路地や行き止まり、いくつものモスク、間口の狭い店が何十件、何百件も連なっているの…
迷路のような道をガイドさんに続いてゾロゾロ、旧市街をグルグル…
「あれ?ここさっき通らなかったっけ?」そんな事を何度も思いながらドンドン旧市街の迷宮のなか進んでいったの。
「職人の町」と言っても過言ではないほど町は修理屋、多種の工場、工房で溢れているよ。
陶器の工房ではたくさんの男の子達がお皿に絵付けをしていたの。どれもカラフルで私好みのデザイン、しかも安いのよぉ~セットでまとめて購入したかったけど、アフリカの旅は始まったばかりだし…涙を飲んで次の工房へ。
今度は機織工房。店いっぱいのスペースに大きな木製の機織機があって、圧倒されたよ。機を織る際に聞こえる音は素朴で、なんとも言えない心地良ささえ覚えたの。
金物工房では再び働く少年の姿が…何百年ものホコリがたまった工房で昔ながらの工程で製作される工芸品の数々はどれも手の温もりが感じられたよ。
道行く人は特に急ぐ様子もなく、アチコチの店先でのんびりお喋り…
ロバや馬がパカポコ蹄の音をゆっくり響かせながら過ぎて行き…
ホコリっぽい路地に差し込む光は水溜りに反射して何とも幻想的…
まるで中世から時間が止まっているような不思議な空間なの。そこから飛び出す生活の音は耳に優しく、心を潤してくれるよ。目を閉じればそれはもっと効果的なの。
少し小高い場所からモロッコ名物!?フェズ名物!?「皮なめし工場」を見下ろしたの。「ポストカード」から飛び出したような風景に驚いたよ。そこは青空工場!屋根がないの。
染色桶のサイズ、数、水の色そして匂いがスゴイったりゃありゃしない!皮をなめしているんだから、想像はしてたけど、実際その場所に行って見ると…鼻がもげそう…
強烈で耐え難い異臭に嗚咽が絶えず苦しんでいると「これを鼻孔に入れると楽になるよ!」って…皮なめし工場直轄の革製品店オーナーが微笑みながら薦めてくれたのは「ミントの葉っぱ」。
限界ギリギリだったから早急に手渡された葉っぱを両鼻の中へ!心地悪くて直ぐに出しちゃった…ごめんなさい~
とても滑らかで美しく染め上げられたフェズの革製品…それらを製作する厳しい環境(臭いし、暑いし)たくさんの時間、たくさんの人の存在を目の当たりにした後は、土産物屋に無造作に並べられてる革製品がとてもありがたく感じられたよ。
かなり歩き回ってお腹がペコペコになった頃、タイミング良く!?またはタイミングをわざと狙ってか!?モロッコ名産カーペット・ショップへ到着したの。
薄暗く、ホコリっぽい広い店内には数え切れないほどたくさんのカーペットが丸めてられて壁に沿ってギッシリ…中に1枚「空とぶ絨毯」があってもおかしくないフインキだよ。
広間には私達20人が余裕で座れるほど大きくて心地の良いレザー・ソファがいくつもあってね…雪崩れ込んじゃった~!
すると、これまたタイミング良く!?奥の間から販売人たちが一斉にサンドイッチを私達にサービスしてくれたの。
モロッコ独特の丸くて平らなパンを半分に切って中を広げ、ポケット状になった内部にトマトと玉ねぎのスライス、フライドポテトそして目玉焼きが入ってて、トマトケチャップ付き!
ボリュームがあって、新鮮で、病み付きになりそうな味なんだよ!
私達のお腹は満たされ幸せ~更に深くソファーに腰掛けると「待ってました!?」とばかりにビジネス開始の販売人達。私達2,3人につき、カーペット販売人がひとり側にやってきて、目の前で次々と自慢のカーペットを披露し始めたの。
この販売人たち、中々のやり手で私達にスキを与えないの。何度「いらない」って言っても…
「じゃ、このデザインは?」「こんなのはどう!」「サイズ違いもあるよ!」「色違いがいいかな?」「好みの柄を言ってよ!」終いには「いくらだと買う?」ってプッシュするの。ある意味スゴイよ、この強引さ。人間臭くて懐かしいような…
夕方近くになると、歩きすぎで私達の足は「棒」になってたよ!もう歩けないってばー
誰一人迷子になることなく、楽しい迷宮探索を終えキャンプ場に向かう途中、数人の仲間が「疲れた体を癒しにハマムへ行こう~!」って言い出したの。
そしたら女性陣が次々に「私も!私も!」キョロキョロしてると「チサヨも来るんでしょ?」そのひと言に考える余地もなく反射的に「ハイ」。
キャンプ場に一旦戻りハマムへ行く準備を整えたの。入浴料、タオル、石鹸!?水着!?
入り口には番台よろしく!?の如く、ボリュームのあるモロッコ人女性が入浴料を徴収していたよ。
中に入ると直ぐに脱衣場。「ハマム」とはイスラムの国々では公共スチーム浴場の事なの。
湯船は無く、体を洗い流す湯貯めがあり、湯気が充満してて床はタイル張り!って感じの一室。
そこにはこれまたボリュームのある垢すり女性が待ち構えていたの。この女性…言葉が全く通じないものだから指で私達に指示するのよ。
「石鹸」を指差し、首を横に振り
「シャンプーボトル」を指差し、首を振り
「水着」を指差し、首を振り
そしてその指は「私」を指さしたのぉ~~~
「床に横になれ?」って指示されてるような・・・念の為、仲間に確認すると「そうなんじゃない?」ってあいまいな返事。何が始まるのか全く予想ができず、恐る恐る床に横たわると垢すり開始!
とても怖そうなおばさんでね、直ぐにでも逃げ出したかったんだけどガマンする事にしたよ。
心地良いなんてとんでもない!かといって全く痛い訳でもないの。
とにかく…
くすぐったくて、くすぐったくて…恥を忘れてタイルの床の上、笑い転げてしまったよ。
その場にいた仲間全員が終始この様子を呆気にとられて見てたからねぇ…目撃者多数よ…
帰り道はこの話で持ちきり…
キャンプ場に戻ると皆でビールを飲みながら…話題は私がハマムの床で笑い転げた話。それが大ウケ状態!
穴があったら入りたかったよ…
でもビール効果???だんだん「笑いの種」になってる事が気にならなくなり、むしろ楽しくなってきたの。終いには「明日からキャラ変えようかしら?」なんて思っちゃったもんね!
あぁ~今夜も星がきれいだなぁ~
おはようちさよの探検 発見 旅行記














